愛着の持てる住まい。
地方の民家は、
建ってから100年以上のものが残っています。
しかし、戦後の高度成長期に建てられた住宅は、
寿命が25年とか35年とか言われています。
ちょっと考えただけでも、
「残りの75年間はどこへいってしまったの」と、
疑問を持たざるを得ないじゃないですか。
もちろん、戦後の貧しさなどが背景にあって、
安く多く住宅を建てることが必要だったのでしょうし、
産業振興のためにスクラップ・アンド・ビルドを目的にして、
住宅が建てられたとも思います。
しかし、もうそろそろ、そんな時代ではないのかな、
と感じています。
服部真澄 氏/作家
(2004/10/12日経エコロジー11月号に掲載文より)
こんなコラムを先日書棚整理していたら見つけました。
たぶん当時は何も感じなかったのだと思います。
私自身もこの本を購入した記憶もないのですが…(^−^)
いま想うと…
考えさせられる事が多い内容です。
一般の人にとって住まい造りは一生に一度の大事業です。
ですから、20年や30年で造り替えるような物ではなく、
私自身、最低でも60年、出来れば100年位住み続けることが
出来るような物でありたいと思っています。
そのためには強度や耐久性能と言った物理的な面はもちろん、
住み手が自分の住まいに愛着やこだわりを持つことが
必要と思っています。
どんなに丈夫に造っても住み手が「愛着やこだわり」を
持たない住まいは必要なメンテもおろそかになり
30年もたてば取り壊されているのが日本の一般的な家造りの実情です。
まだ手を入れれば住み続けられるのに
「愛着やこだわり」がないから安易に取り壊してしまう。
また、手を入れるだけの価値を感じない住まいが多いのも現状です。
「愛着とこだわり」が住まいを長持ちさせる必要条件と思っていますね。
「このキズはお兄ちゃんが付けたんだよ。」
そんな会話が昔の家はあったような気がします。
200年、300年と歴史に残っている建物は
元々の造りがしっかりしているだけでなく
建物その物に価値がある建物です。
価値があるからメンテの費用を惜しまず手を入れます。
手を入れるから長持ちする。
価値ある住まいはデザインも端正でシンプル、
美しく、時間の経過と共に風合いが増します。
今残されている歴史ある古民家はそうではないでしょうか?
何時の時代でも古さを感じさせない住まいなのかも知れません。